従来のG7に依拠した運営ではなく、影響力を増すと連携を深める。
国際金融の安定には、台頭する中国、インドなどの意向を取り入れさるを得なくなってきたからで、当面はFSBが国際金融協調の主舞台になる公算が大きい。
4月に設立され、議長はFSF議長だったD氏が引き続き務める。
規制の協調の場である監督・規制協調委員会の委員長には、英金融サービス機構のT会長が就任した。
米国は金融危機などの対応にあたってきた大統領金融作業部会を、常設の金融サービス監視委員会に改組する。
財務長官が主催し、財務省にスタッフを置く。
メンバーは財務長官、FRB議長、商品先物取引委員会(CFTC)理事長、新設する消費者金融保護庁の長官、連邦預金保険公社(FDIC)総裁、連邦住宅金融庁(FHFA)長官、新設する銀行監督機構の長官、SEC理事長で、ばらばらだった監督機関を束ねる。
銀行監督機構(ナショナル・パンク・スーパーバイザー)は、預金を扱う金融機関を監督するために設ける組織で、銀行監督を担ってきた0CCと貯蓄機関監督庁(OTS) の機能を引き継ぐ。
またO政権は、規模が大きく金融システムに影響を及ぼす金融機関を、T金融持株会社(FHC)と位置付け、その監督をFRBに一元化する方針を打ち出した。
RやAIGなど銀行監督を受けていない金融機関が実質破綻し、金融システムが動揺したためだ。
ただ、FRBに監督を一元化することには、議会で反対がくすぶっている。
G・FRB議長が卯年代から進めた金融規制緩和の行きすぎが、金融危機の元凶になった。
ITバブルの崩壊に対応するため、超低金利政策を取ったことが信用バブルの拡大につながり、それへの適切な対策を取らなかった。
またFRBは金融政策の遂行が求められ、監督とのあいだで利益相反が起きかねない。
具体的にはマクロ経済で利上げが必要な局面で、監督として大きな金融機関を救うための低金利維持が求められることが起こり得る。
このため仮にFRBへの監督一元化が実施されてもうまくいかない可能性が大きく、一元化の行方は不透明だ。
欧州は金融監督者による欧州金融監督システム(ESFS)と、システミックリスクを監視する欧州システミックリスク委員会(ESRB)を設ける。
欧州は金融政策を欧州中央銀行(ECB)に一元化しているが、金融監督は各国が実施している。
金融機関が欧州連合(EU)全域への展開をにらんで巨大化する中で、各国の監督が十分に機能しなかった。
監督当局者による欧州金融監督システムの創設は、監督の一元化に向けた第一歩だ。
ただし、ドイツなどは自国の監督を優先する姿勢を簡単には放棄しないと見られ、新組織の政策と各国の監督権限をどう調整するかは不透明だ。
実際には新組織に権限を集中して、規制も一元化しないと、国ごとにばらばらで穴だらけの監督システムは改善しない。
システミックリスクを監視する欧州システミックリスク委員会は、ECB総裁が議長を務める。
ただECBには金融政策に関して原理主義的なところがあり、7月にはサブプライムローン問題で欧州各国の有力銀行が大きな損失を抱える中で利上げに踏みきり、その結果、信用収縮が強まり、R破綻をきっかけに市場機能の麻療につながった。
日銀の利上げに匹敵する、歴史的な金融政策の失敗となった。
金融監督をしていないECBに重い役割を担える力はなく、議長役を変えないと十分に機能しない恐れが強い。
日本は不良債権問題が進展する中で、金融監督の手直しを進めてきた。
東京都の2つの信用組合の破綻処理で、監督者の都が政府の処理案に反対し混乱したことを受けて、信用組合の監督権限は政府に移管している。
大蔵省の中では、監督をする銀行局、証券局と、検査をする大臣官房検査部が分かれていたが、金融庁(当初は金融監督庁)に一元化し、検査情報をもとに監督ができる体制を作った。
全体的な危機に対応して金融危機対応会議を設け、首相の下で危機管理にあたる体制も作っている。
監督面では、金融庁がすべての金融機関を一元的に監督できる体制整備が欠かせない。
経済産業省が大手ノンバンクを、農林水産省が農林中央金庫を、厚生労働省が大手年金基金を、総務省がゅうちょ銀行、かんぽ生命を、それぞれ単独または共監で監督している現在の体制は、改める必要がある。
また、日銀が伝統的にプルーデンス(信用秩序に関する)政策とは距離を置く姿勢を明確にしているため、内外の金融システム問題への対応は遅い。
サブプライムローン問題にしても日銀がいち早く「問題は限定的だ」との誤った判断を示し、初期対応を誤った経緯がある。
地方金融機関の経営状況が脆弱であるにもかかわらず、急ぐ必要のない利上げを実施し、地方経済に大きな打撃を与えた。
日銀が金融政策を実施するにあたっては、金融監督の面から大きな問題が生じないかをチェックできるシステムを構築する必要がある。
インフレが差し迫った局面での利上げにチェックは無用だが、町年のようにインフレの恐れがほとんどない状況では、より高次の国益を考えた金融政策を遂行できるように日銀の牽制機能を導入する必要がある。
各国で金融制度の見直しが急だが、危機が起こったことへの真撃な反省は欠かせない。
危機をつぶさに見ていけば、そこには銀行の欲だけでなく監督当局の甘い監督、無責任な規制緩和などがあった。
まず、危機の発生につながったような制度作りをした監督者は退く必要がある。
新しい制度は新しい考えに立脚して構築されるべきで、欠陥ある制度を作った監督者が新たな制度を作っても信頼は得にくい。
次に銀行の経営者を銀行監督の責任者に据える人事は見直すべきだ。
特に米国では投資銀行出身者が財務長官になり、無責任な規制緩和を推進し金融危機の原因を作り、さらにその後、大手銀行に天下りして高額報酬を手にした例もある。
規制緩和は必要だが、それは国益に資する形で実施されるべきであり、一部の金融業者の利益を増やす目的で実施されるべきではない。
さらに中央銀行を、監督に必要以上に巻き込むべきではない。
金融危機を通じて明らかになったことは、中央銀行の金融機関のミクロ経営への無知と無関心で、監督を担う能力は備わっているとはいいがたい。
金融監督は公的資金の投入などを伴う財政政策であり、金融政策の財政との独立の考え方にも反するものだ。
危機再発防止に向けては、既存の金融監督を強化することが王道である。
主要国では金融監督は技術的な職と見られ、組織もそのトップもほかの経済官庁や担当閣僚より格下に位置付けられている。
ただこの分野は、いったん失敗があると世界経済が大混乱しかねないことは今回の危機で明らかになった。
単に組織をいじるだけではなく、その重要性を十分に認識した運営をする必要がある。
金融危機後の秩序作りで、主要国がまず手を着けたのは、租税回避地(タックスヘイプン)だった。
2009年4月、ロンドンで開いた国・地域(G7)首脳会議(金融サミット)は、タックスヘイプンの監視強化で合意した。
タックスヘイプンは低い税率を武器に取引を集める国・地域で、金融ではバージン諸島、ジブラルタル、ケイマン、スイス、リヒテンシユタイン、シンガポール、香港などがその代表だ。
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